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夢見る仔猫の雑記帳

創作サイト『夢見る仔猫』の雑記帳

試験の多い魔導王国王家

王族だろうと容赦なし! 答案用紙一枚で暴かれる、勘違い王子たちの末路が痛快すぎる!

異世界恋愛ものを読んでいると、必ずと言っていいほど出会うのが、身分を笠に着た傲慢な王子様、都合よく現実を解釈する勘違い貴族、そして「真実の愛」を免罪符にして婚約者を傷つける人々。

本作『試験の多い魔導王国王家』は、そんなおなじみの面々に対して、とびきり独創的な方法で鉄槌を下してくれる作品です。

その方法とは……試験!

そう、決闘でも魔法対決でも公開断罪でもありません。ペーパーテストです。

法律の多いことで知られるカヌーン魔導王国。実はこの国、王族に対しても非常に厳しい試験制度が設けられています。王様も王妃様も王子も王女も、王族である以上、自分の身分や役割、婚約の意味、結婚後の責務などを正しく理解していなければなりません。

しかも、不合格なら追試だけで済むとは限らない。廃嫡あり、臣籍降下あり、場合によっては毒杯まで!

王族だから偉いのではなく、王族にふさわしい人間だから王族でいられる。

この国の徹底した考え方が、もう最高なのです。

最初に登場する第三王子カーインは、母親が自分に語ってきた都合のいい物語をすっかり信じ込んでいる人物。自分は王太子になれると思い込んでいるものの、いざ試験を受けてみれば、自分の身分も母親の立場も、将来の役割も理解していないことが明らかになります。

しかも、教師たちは以前からきちんと教えていたというのだから、救いようがありません。

知らなかったのではなく、知ろうとしなかった。

耳に痛い話は聞き流し、自分に都合のいい話だけを信じた結果がこれです。答案用紙という動かぬ証拠を突きつけられる展開は、勘違い系ざまぁとして実に気持ちがいい!

そして、彼を待っていたのは単純な処刑ではなく、母親やその実家の人間まで巻き込んだ徹底的な再教育。王族であることを勘違いしていた親子が、まず自分の立場を理解するところからやり直しになるのです。

続く第四王子カスールも、なかなかの逸材です。

侯爵家の令嬢との婚約を、自分の美貌と才能に惚れ込んだ相手が望んだものだと思い込んでいる彼。しかし、現実はまるで違います。婚約者の名前すら正確に把握せず、結婚後の自分の役割も理解していない。

何より腹立たしいのは、婚約者がどれほどの犠牲を払ってこの婚約を受け入れたのか、本人がまったくわかっていないこと。

だからこそ、試験不合格による婚約解消と、その後の処遇には思わずニヤリとしてしまいます。

自分は選ぶ側だと思っていた男が、実は選ばれる価値すら認められていなかった。その現実を突きつけられるのですから、これぞ因果応報!

そして、個人的に見逃せないのが第五王子カーエドです。

兄の失敗を見て、彼は学びます。試験では本音を隠し、模範解答を書けばいいのだと。

そう、彼は反省したわけではありません。自分の性根を改めるのではなく、うまく取り繕う方法を覚えたのです。

ところが、カヌーン魔導王国の試験制度は、そんな小賢しい小細工まで想定済み。最後の試験で彼の口から飛び出す本音は、婚約者への侮辱、家門の乗っ取りを思わせる企み、愛人を優遇するための身勝手な計画と、まさに醜悪の一言。

そして、そこに現れる真実と虚偽の神イクテヤール!

この場面は、本作のざまぁ要素がひときわ輝くところです。建前だけ取り繕っても、神様の前では通用しない。とりわけ、婚姻と出産を司る神々が見守るこの国では、結婚相手を踏みにじるような考え方そのものが許されないのです。

ただ罰を与えて終わりではなく、なぜこの国が婚姻に厳しいのか、なぜ神々がそこまでこだわるのかという背景まで描かれているため、物語世界にも説得力があります。

本作が面白いのは、王子たちの失敗だけでなく、彼らを取り巻く王家や制度のあり方まで描いているところです。

カヌーン魔導王国では、身分の高い者ほど責任を負い、法律によって庶民が守られています。婚約破棄や不貞、身分を利用した横暴といった、異世界恋愛ものではおなじみの問題も、放置されずに対処される仕組みがあるのです。

理不尽な目に遭った令嬢が、泣き寝入りする必要はない。権力者の身勝手がまかり通るわけでもない。

この安心感がたまりません。

さらに、物語の終盤で明かされる現国王と王妃、第一側室をめぐる過去も印象的です。単純に悪い側室を排除して一件落着、という話ではありません。王家を守ろうとする人々の思いや、善意が思わぬ問題を招く事情も描かれ、試験制度が必要とされる背景がより深く理解できます。

厳しい制度を維持するのは、王族を苦しめるためではない。王族という立場を利用して、他人の人生を踏みにじる者を生み出さないためなのです。

もちろん、神々も黙って見ているだけではありません。ときに厳しく、ときに過保護なほどに人間たちを見守る神々の存在が、この作品独特の味わいを生み出しています。

婚約破棄ものが好きな方、傲慢な王子が自分の思い上がりを思い知らされる展開が好きな方、そして制度によって悪事が裁かれるタイプのざまぁが好きな方には、ぜひ読んでいただきたい一作です。

何より素晴らしいのは、王族という肩書きが免罪符にならないこと。

どれほど偉い家に生まれても、自分の立場を理解せず、責任を果たさず、他人を尊重できないなら、その地位にふさわしくない。

そんな当たり前のことを、試験という形で容赦なく突きつけてくれるのです。

さあ、次はどんな王族が答案用紙の前で現実を思い知らされるのか。

試験官の「では、答え合わせをいたしましょう」という言葉が、これほど頼もしく、そして楽しみになる作品もなかなかありません。

カヌーン魔導王国の試験制度、ぜひ一度受験……ではなく、読んでみてください!

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