自分の爵位も、愛する人も、絶対に譲らない! 有能令嬢の痛快ざまぁと最高の溺愛に拍手!
タイトルからして、これは絶対に面白いやつ……! と思って読み始めたのですが、期待どおり、いや期待以上にスカッとする異世界恋愛でした!
何がいいって、主人公のマルガレーテが本当に格好いいんです。
公爵家の当主として領地を治め、交易路の整備や輸送計画、費用対効果、領民の安全まで考えて仕事をこなす有能令嬢。肩書きだけの貴族ではなく、自分の仕事に責任を持ち、実際に領地を支えている女性です。
こういう、自分の実力で立場を築いてきたヒロイン、大好きです!
しかも、ただ仕事ができるだけではありません。理不尽なことを言われても感情に任せて騒ぎ立てず、相手の主張を冷静に整理し、何が問題なのかを明らかにしていく。その姿がとにかく頼もしい!
そして、そんなマルガレーテの婚約者であるアロイジウスも、これまた素晴らしい男性なのです。
二人は幼馴染で、お互いのことをよく知っている間柄。仕事についても率直に話し合えるし、相手の能力をきちんと認めている。単に好きだから一緒にいたいというだけではなく、人間として尊敬し合っているのが伝わってくるんですよね。
もちろん、恋愛としての甘さもしっかりあります!
特にいいのが、アロイジウスがマルガレーテの能力や立場を尊重しているところ。
彼女が公爵家の当主だから結婚するのではなく、彼女自身を愛している。結婚したあとも公爵としての権限を奪うつもりはなく、彼女がこれまで築いてきたものをそのまま大切にしてくれる。
これですよ、これ!
恋人を守るために何でも決めてしまう男性ではなく、恋人が自分の意思で選び、自分の力で生きていくことを尊重してくれる男性。しかも必要なときには支えてくれるなんて、理想の伴侶すぎませんか?
そして、この素敵な二人の前に立ちはだかるのが、マルガレーテの父マルクスと、その娘エーファ。
もう、この父娘の振る舞いがすごい。
マルクスは、エーファがアロイジウスを気に入ったというだけで、マルガレーテに婚約を解消しろと言い出します。その理由が、エーファは美しいから、というのだから開いた口が塞がりません。
家同士の結びつきも、領地の利益も、当人同士の気持ちも関係なし。自分の娘が欲しがったのだから譲れ、という理屈です。
いやいや、アロイジウスは物ではありません!
しかも、マルクスは自分が公爵家の当主であるかのように振る舞い、マルガレーテの人生まで勝手に決めようとするのです。
読んでいるこちらとしては、「あなた、いったい何様なの!?」と言いたくなります。
けれど、ここからが本作の気持ちいいところ。
マルガレーテは、ただ怒鳴り返すのではありません。
「エーファとアロイジウス様が結婚することによって、アロイジウス様には、どのような利益がございますの?」
この問いかけが最高です!
美貌がどうとか、娘が気に入ったとか、そんな話で貴族同士の結婚が決まるわけがありません。必要なのは、結婚によって何が得られるのか、誰が責任を負うのかという現実的な話。
相手が感情論で押してくるなら、こちらは正論と事実で返す。
この冷静さがたまりません!
さらに、アロイジウスも自分の意思をはっきりと示します。エーファの一方的な好意に流されることも、マルクスの威圧に屈することもありません。
「私の幸せは、私自身が決める」
この姿勢が本当に素敵。
ヒロインが自分の人生を自分で選ぶだけでなく、ヒーローもまた、自分の人生を他人に決めさせないのです。だからこそ、この二人はお似合いなんですよね。
そして、いよいよ訪れる最大の見せ場。
「公爵は、わたくしです」。
この一言、最高にスカッとしました!
マルクスは妻の姓を名乗り、公爵家で暮らしていたからといって、自分が公爵家の当主になったつもりでいたのでしょう。しかし、実際には爵位を継承したのはマルガレーテ。彼には、娘の婚約を勝手に決めたり、公爵家の権限を振りかざしたりする資格などなかったのです。
しかも、母クリームヒルトが遺した婚前契約書や後見人の指定、エーファの身分を示す届け出、マルクス自身が署名した借用証書など、これまでの事実を裏付けるものが次々と明らかになっていきます。
自分に都合のいいように現実を解釈し、好き勝手に振る舞ってきた人間が、動かしようのない証拠を突きつけられる。
この展開、ざまぁ好きにはたまりません!
今まで当然のように享受してきた生活も、自由に使ってきたお金も、決して自分の力だけで手に入れたものではなかった。責任を負わず、他人の立場や権利を踏みにじってきた結果、最後には自分の行いが返ってくるのです。
浪費したお金は借金として返済することになり、マルクスたちは公爵家を去ることに。
まさに因果応報!
しかも、ただ悪役がひどい目に遭って終わり、という話ではないところが印象的でした。
マルガレーテは父親を「お父様」と呼び続けます。父親であるという事実まで否定するわけではない。でも、父親だからといって、何をしても許されるわけではないのです。
幼い頃には父親に愛してほしいと願っていた。それでも、自分がこれ以上その責任を背負い続ける必要はないと決断する。
「だからこそ、これ以上、お父様の責任をわたくしが代わりに負うことはいたしません」
この言葉には、胸に迫るものがありました。
自分を傷つける相手であっても、家族だから、親だからと、いつまでも我慢し続ける必要はない。相手の人生と自分の人生を切り分け、自分が背負うべきものを自分で決める。
マルガレーテの強さは、爵位や能力だけではなく、こうした決断ができるところにもあるのだと思います。
そして、ざまぁのあとは、待ちに待った幸せな結婚生活!
マルガレーテは公爵の座を譲らず、アロイジウスはそれを奪おうとしない。彼女が公務を続けることを尊重し、必要なときには支え、休むべきときには休めるよう気遣ってくれます。
結婚したからといって、女性が自分の築いてきたものを手放す必要はない。愛する人と一緒になるために、自分の立場や生き方を諦めなくてもいい。
二人が選んだのは、どちらか一方が相手に合わせて我慢する関係ではなく、互いを尊重しながら一緒に歩いていく関係なのです。
悪役たちが自滅していく痛快さも、仕事のできるヒロインの格好よさも、誠実なヒーローとの恋愛も、全部楽しめるのが本作の魅力!
何より、マルガレーテが最後まで自分の人生を手放さないところが大好きです。
爵位も、仕事も、愛する人も、誰かに譲る必要なんてない。
自分を尊重してくれる人と、自分の意思で未来を選べばいい。
そんなメッセージが、ざまぁの爽快感と幸せな結末の両方から伝わってくる物語でした。
理不尽な相手を正論で打ち負かす有能令嬢が読みたい方、きっちり因果応報なざまぁを味わいたい方、そして対等に愛し合う素敵なカップルに癒やされたい方に、ぜひおすすめしたい一作です!
マルガレーテとアロイジウス、末永くお幸せに!
そして、タイトルどおり。
その結婚、アロイジウスにとってデメリットしかございません。
……ただし、エーファとの結婚に限りますけれどね!
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